がん細胞にだけ反応する天然の抗がん剤「サルベストロール」。がんの標準治療との併用が可能な点も魅力のひとつです。2021年にインドで行われた臨床試験において、頭頸部、消化管、卵巣、肺がんといった多様ながんに対する補助治療としてのサルベストロールの効果が報告されました。
24ヶ月生存率が2.4倍に!
がん治療においてサルベストロールを併用した場合、使用しなかった場合に比べて、6ヶ月・12ヶ月・18ヶ月・24ヶ月いずれのタイミングにおいても、生存率が高くなる結果となりました。
ほとんどのがんの種類で生存期間が2倍以上に!
次にがんの種別に生存月数を比較しました。頭頸部がん、卵巣がん、肺がん、消化管がんのいずれても、サルベストロールを併用した場合の方が、生存月数総計が多くなる結果となりました。(※乳がんでは、試験期間中の死亡事例がほぼなかったため、有意差なし)
まとめ:サルベストロールの介入が、がん患者を救う可能性
サルベストロールを併用することで、がん患者の生存率や生存月数が増加することが、臨床試験によりわかりました。症例だけでなく、試験結果として明示されたことは画期的です。また、一部のQOL評価においても、サルベストロールの介入によって向上することがわかっています。
がん患者が1日でも長く心穏やかに生きるために、サルベストロールは大きな可能性を秘めていることがうかがえました。
サルベストロールとは
サルベストロールは、一般的な植物に含まれるポリフェノールのような植物性栄養素でありながら、人体内でがん細胞に取り込まれると抗がん物質に変化する成分です。
がん細胞特有の酵素「CYP1B1(シップワンビーワン)」と反応し、抗がん物質になります。こうすることでがん細胞を細胞死(アポトーシス)へ導き、がん細胞を排除する働きをするのです。
正常な細胞には「CYP1B1」が存在しないため、影響を与えません。そのため、サルベストロールはがん細胞だけに反応する天然の抗がん剤として、注目されるようになりました。
◇サルベストロールについて、より詳しくはこちらで解説しています。
臨床試験 概要
計102名のがん患者に対し、標準治療のみ(対照群)と標準治療+サルベストロール(介入群)の生存率およびQOLを評価いたしました。
- 対照群(n=51):がんのステージに応じた標準治療のみを実施(標準治療とは、化学療法・放射線療法・手術を指します)
- 介入群(n=51):標準治療に加え、サルベストロールの投与を実施(治療開始1か月間はサルベストロール6000pt投与、その後、死亡または中止するまで4000ptを維持投与)
※各群の部位内訳:頭頸部11名、肺10名、卵巣8名、乳房10名、消化管12名
※各群の年齢に統計的優位差はなし
※すべての対象者に栄養補助として、ビタミンC、B複合体、CoQ10を投与
【出典】Gayathri B, Raman RR, Kumar MV. Effect of Salvestrol as an Adjunct in the Treatment of Head & Neck, GIT, Ovary, Breast, and Lung Malignancies Undergoing Conventional Treatment in an Indian Population. J Regen Biol Med. 2021;3(2):1-12.
※著者はMNJ Institute of Oncology Regional Cancer Centerの放射線腫瘍学部門教授および准教授
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